高卒採用ってどうなの?高卒就活の独自ルールを解説!

高校生の就職活動には様々なルールがあることをご存知でしょうか。この記事では、ルールの紹介や大卒との違いなどを探っていきます。

高校卒業後、就職したいと考えている方の参考になれば幸いです。

目次

POINT① 学校斡旋

高卒の就職活動では、学校が中心となって企業を紹介する「学校斡旋」という制度が一般的です。大学卒業者とは異なり、高校生の就職活動は、学校と企業、そしてハローワークが連携して行われる点が大きな特徴です。

学校斡旋の具体的な流れ

まず、企業は、ハローワークに高卒採用に関する求人情報を登録します。登録された求人情報は、各高校に送られ、高校は、届いた求人の中から生徒の希望や適性などを考慮して、生徒におすすめの企業を選びます。

その後、学校では企業の説明会が開催され、生徒は企業の仕事内容や社風などを詳しく知ることができます。説明会に参加した生徒の中には、実際に企業を訪問して職場見学を行う場合もあります。職場見学では、実際の仕事内容や職場環境を体験することで、企業への理解を深めることができます。

職場見学を経て、入社を希望する生徒は、企業の指定する応募書類を作成し、提出します。書類選考を通過すると、面接に進むことになります。面接では、志望動機や自己PRなどを聞かれ、企業側は生徒の人物像を評価します。

面接の結果、採用が決まった生徒には、内定通知が送られます。

学校斡旋の特徴としては、以下のようなものがあげられます。

一人一社制
一定期間、一つの企業にしか応募できないというルールがあります。これは、生徒がじっくりと企業を選べるように、また、企業が安心して採用活動を進められるようにするためのものです。

学校が中心的な役割
高校の先生が、生徒の就職活動をサポートします。企業選びや面接対策など、様々な面でアドバイスを受けられます。

では、なぜ学校斡旋が行われるのでしょうか?

実はこれらは、社会経験のない生徒を守るために作られている仕組みです。

生徒の保護
高校生は社会経験が浅いため、企業選びに苦労する可能性があります。学校が中心となって就職活動をサポートすることで、生徒が安心して就職活動を進められるようにします。

企業の効率化
企業は、学校を通じて多くの求職者に一度にアプローチすることができます。また、学校推薦の生徒は、一般的に真面目な学生が多いとされており、採用効率を高めることができます。

地域社会との連携
学校、企業、ハローワークが連携することで、地域全体の雇用促進に貢献することができます。

POINT② 独自の求人票

高校の紹介を受けて高卒採用をするには、まず「ハローワーク(職業安定所)」への求人票の登録が必要です。求人票の登録は一般(中途やアルバイト)の枠とは違い、高卒新卒専門の求人票があります。

ハローワークに申請した求人情報は「高卒就職情報WEB提供サービス」と求人票に落とし込まれ、企業はこの求人票を元に、先生や生徒に求人情報を届けることになります。

POINT③ 採用スケジュール

高卒採用のスケジュールは、地域や業界、企業によって多少の差異はありますが、一般的な流れを月別に解説します。

卒業までの月別スケジュール

2年生
  • 卒業後の進路について、3者面談などで相談開始
  • 就職希望者は、進路指導の先生やハローワークに相談を開始
 
3年生
  • 新学期が始まり、本格的に就職活動を開始する生徒も。
  • 企業は、採用計画を立て、求人内容を固める。
 
  • ハローワークへの求人登録開始: 各企業がハローワークに求人情報を登録。
  • 高校への情報提供開始: ハローワークから高校へ求人情報が提供され始める。
 
  • 求人票公開開始:企業による高校への求人申し込み及び高校訪問開始
  • 高校説明会: 各高校で企業の説明会が開催される。
  • 職場見学: 希望者に対して、企業が職場見学を実施。
 
  • 応募書類提出: 学校を通じて、企業に応募書類を提出。
  • 面接: 面接日程調整、面接実施。
  • 内定: 面接結果に基づき、内定通知。
  • 内定承諾: 内定承諾書を提出。
  • 入社手続き: 入社手続きを進める。

各月のポイント

  • 6月: 企業が本格的に動き出す時期。
  • 7月~8月: 説明会や職場見学を通して、企業について理解を深める。
  • 9月: 応募書類提出や面接など、最も重要な時期。
  • 10月以降: 内定後の手続きを進める。

2022年の厚生労働省の調査によると、多くの高校生は9月末までに就職活動を終えていることが明らかになりました。特に、工業高校や商業高校など専門性の高い高校では、就職活動が早く進む傾向が見られます。一方、通信制や定時制の高校では、9月中旬頃から就職活動が本格化するケースが多いようです。

高卒採用においては、高校の種類によって就職活動のスケジュールが大きく異なるため、企業は各高校の特性を理解することが重要です。例えば、工業高校や商業高校であれば、早めに採用活動を開始する必要があるかもしれません。また、通信制や定時制の高校であれば、9月中旬以降に重点的にアプローチする必要があるでしょう。

高卒採用のメリット

高卒採用のメリットとはどのようなものでしょうか?いくつかメリットがあげられます。

早期の社会経験
大学進学と比較して、より早く社会に出て働くことができるため、早い段階から社会経験を積むことができます。

経済的な自立
家庭への経済的な負担を軽減し、自立した生活を送ることができます。

安定した職を得やすい
高卒採用は、大学卒業者の採用と比べて、比較的安定した職に就きやすいという側面もあります。

高卒採用の課題

高卒採用には、以下のような課題もあります。

早期離職の多さ
高卒者の就職においては、学校の斡旋により高い内定率が維持されていますが、「早期離職」が課題となっています。

高卒者の3年以内離職率は36.9%で、大卒者の31.2%と比較すると5.7ポイント高く、特に1年目の離職率が高卒で16.9%、大卒で11.6%と大きな差があります。高卒者の離職理由の上位は「人間関係が良くなかった」「労働条件が悪かった」などで、特に人間関係が原因で離職する割合が高く、大卒者と比べて顕著です。高卒者は「一人一社制」により、企業を比較する機会が少なく、社風や職場環境に関する事前情報が不足しているため、入社後にミスマッチが生じやすいです。

キャリアアップの制限
大卒と比較して、専門性の高い仕事や管理職への道が狭まる可能性があります。

多くの企業では、管理職や専門職への昇進において大卒者が優遇されることがあり、学歴が昇進基準に含まれることが少なくありません。特に大企業やホワイトカラー職では、キャリアアップの過程で大卒以上の学歴が求められるケースが多いため、高卒者は中間管理職以上のポジションに昇進する機会が限定される場合があります。
また高卒者は、一般的に事務職や現場作業職などの比較的ルーチンワークが多い職種に配置される傾向があり、業務範囲が限定されることがあります。これにより、長期的なキャリアプランを描くうえで、スキルの拡充や業務範囲の拡大が難しいと感じることがあります。

生涯賃金
大卒と比較して、生涯賃金が低い傾向にあります。

大卒と高卒の賃金格差は長期的に存在しています。経済産業省や厚生労働省の調査によれば、高卒者と大卒者の初任給から昇進、昇給までに賃金格差が開きやすく、結果として生涯賃金にも影響が出ます。具体的には、高卒者の生涯賃金は大卒者の約70~80%程度と見積もられることが一般的です。業界や職種によって異なりますが、管理職や専門職に進む機会が少ない高卒者は、長期的に収入が大卒者に比べて伸びにくいです。

また高卒者の初任給は、大卒者に比べて低い傾向があります。2023年度の厚生労働省の調査では、高卒の平均初任給は約17~18万円、大卒では約21~22万円と報告されています。この差がその後の昇給にも影響を与え、年収の伸びにも差が生じやすくなります。

最後に:大切なこと

ここまで、高卒採用のルールやスケジュール感、メリット・デメリットを紹介してきました。

高卒就職か大学進学か、どちらを選ぶかは大きな決断です。それぞれの道にメリットと課題があるため、自分の将来の目標や価値観に合わせてじっくり考えてみてください。

明確にやりたいが定まっており、高卒就職で実現できる場合は、その道を選択することをCograsは応援します。

一方で、明確にやりたいことがないや勉強が嫌いだからといった場合には、大学進学することをおすすめします。それは選択肢が広がるからです。今、明確な将来像がない方は、可能な限り、選択肢を残して進められるよう進路を検討してみてください。今後成長するなかで、きっと進みたい道が見つかるはずです。

Cograsのお悩み相談室では、やりたいことがない人の進路の選び方について、雑談している動画がありますので、ぜひご覧ください。⇩

本日は以上です、記事を読んでいただきありがとうございました。

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